「非認知能力」とは?~子供の人生を豊かにするかもしれない力~前編
最近よく耳にする「非認知能力」という言葉、皆様はご存知ですか?
非認知能力は生涯にわたって役立つ力ですが、これを育てるには、幼児期から学童期にかけての取り組みが重要だと言われ、近年教育分野において特に注目を集めています。
私は運動指導者であり、教育者ではないものの、お客様の大切なお子様に関わる仕事であるということ、そして運動が子供に及ぼす影響と関わりのある事柄のため独学でこの非認知能力に関して勉強していました。
今回はこの非認知能力に関して記事を書いていきます。
非認知能力とは
非認知能力はいわゆる心理学用語です。
いわゆるIQと言われる学力テストなどで測定できる「認知能力」(知覚・判断・想像・推論・決定・記憶・言語理解など)とは違い、測定できない能力の中でも【将来的な収入を高め、社会的成功を呼び込む素質】とされるものを集めた能力のことを言います。
この非認知能力は世界的に注目を集め様々な研究が行われる中で、非認知能力が上がるような教育をされた子供は将来収入の高い仕事に就く事が多かったという具体的な結果も出ています。
非認知能力の一例としては以下のようなものがあります。
こうして具体的な言葉にしてみると、誰もが一度は自分の能力向上のために着目したことがあるものや、子育て中の親御さんなどは我が子にも身に着けてもらいたいと日々考えているような事項なのではないでしょうか。
非認知能力に関しての研究や書籍
私は非認知能力に関して勉強するにあたりこの本を読みました。
この本の中でも触れられている「ペリー就学前プロジェクト」というのが非認知能力の研究として有名です。
これは経済的に恵まれない3歳〜4歳のアフリカ系アメリカ人の子どもたちを対象に行われた教育プログラムに関する研究です。子どもたちはランダムにこのプログラムを受けるグループと受けないグループに分けられ、プログラムを受けたグループの子どもたちには、午前中は「子どもたちが主体となる学び方(アクティブ・ラーニング)」による学校教育が施されたほか、週1回先生が家庭訪問をして家庭での親子の関わり方についての指導にあたりました。その後40年にわたる追跡調査で、この「ペリー就学前プロジェクト」を受けたグループの子どもたちは、この教育を受けていないグループの子どもたちと比較して認知能力には大きな差がないものの、学習成績が高く、より安定した社会生活を送り、犯罪率や生活保護受給率もより低いということが分かりました。
この研究を通して、テストで測る事ができない認知能力とは別の要因である非認知能力の成長が社会への対応力につながって、子どもたちの人生をより豊かにしたと言えるのではないかと注目を集めるようになったのです。
非認知能力の育て方①理論編
それでは具体的にどのようにすれば子供の非認知能力が育つのかについて触れて行きます。
(※非認知能力に関する記事はたくさんあるので細かい事はそちらにまかせてザックリ記述します。)
非認知能力の育て方として言われている事はいくつかありますが、例えば、以下のような方法があるとされています。
・「基本的信頼感」を与えること
・子供の好奇心の芽を摘まないこと
基本的信頼感とは、自分が他者をどれだけ信頼できるかという心理概念であり、例えば、以下のようなコミュニケーションによって、高めることができるとされています。
- 子供が転んで泣いたら→「痛かったね」など共感する。
- 手伝いをしてくれたら→感謝する。嬉しいという感情を伝える。
- なにかできるようになったら→褒める。他の子と比べない。
これらの反応によって子供は相手に対する基本的信頼感が土台となって非認知能力が伸びていくとされています。
例えば、痛くても我慢する、喜んでもらえたら奉仕的になる、できることが増えたらチャレンジ精神や意欲の向上につながる、などです。
また、子供の好奇心の芽を摘まないように、「子供のやっていることに対して寛容になる」ということも重要です。子供は物心がつき始めると、ありとあらゆるイタズラをし始めるものです。
基本的には、危険性を伴うものであったり、他人に迷惑をかけるようなものでなければ、咎めないでいてあげることが重要です。
好きなことなら誰だって意欲的に取り組み、根気強く続けられるものです。
好奇心を尊重して、子どもがやりたいと思うことをさせてあげることで、意欲を伸ばしたり、工夫することを覚えたりなどの能力が育まれると言われています。
非認知能力の育て方②実体験編
非認知能力を育てるには【3歳まで】にどのように子供に接するかで決まると言われていますが、私としてはこの能力は中学高校になっても育つというのが持論です。
ここからは、私が自信の体験を交えて上記した表の項目ような非認知能力が成長したと感じるエピソードをお話します。
私は中高と6年間バレーボール部に所属していました。中学高校と同じスポーツの部活を経験したわけですが、それぞれのチームでの経験は全くの別世界と言っていいものでした。
中学時代に所属していたバレー部は県内でも強豪校で、関東大会に出場するほどのチームでした。顧問の先生はとても熱心な指導者でしたが、これが私にとっては大きなトラウマとなりました。
内情としては私くらいの世代のいわゆる「強い部活」をそのまま表したような感じで、具体的には
・とにかく練習が厳しい
・ミスをするとめちゃくちゃ怒られる
・体罰もある
などです。
試合でミスをすれば「お前はスパイか!!」と顔面を突き付けられながら怒号を浴びせられ、体育館の端から端までビンタを食らい続けたこともありました。(コートには私の鼻血の鮮血が滴り落ちるという笑)
もちろんこの部活で精神的にも参った反面かなり鍛えられた部分はありますが、結局私はミスを恐れてボールが飛んでくると頭が真っ白になり萎縮し、思うようなプレーができなくなりました。当然モチベーションも無くなり、ベンチを温める事の方が自分にとっても心地よくなりました。この状態は引退するまで続きました。
そんな経験をしておいて高校でもバレー部に入るなんてどんなドMだよ!と突っ込まれそうですが、きっかけとなったのは、同じ中学バレー部出身の先輩から誘われたことです。
実はその先輩も中学時代私と全く同じような状況になっていて、入部直後に怯えながらその先輩が怒られるのを見ていた事を記憶しています。
その先輩に連れられて見に行ったバレー部の練習でしたが、練習風景はなんの変哲もない部活といった印象。「やっぱり違う部活に入ろう…」そう思った時に私の目に飛び込んできたのは、その誘ってくれた先輩のプレーです。
中学時代とは比べ物にならない程高くジャンプし、強烈なスパイクを決めていたのも衝撃的でしたが、なんとも楽しそうにプレーしているのです。キラキラと光り輝いて見えたのを覚えています。
あの中学時代ボロボロだった先輩がこんなに楽しくバレーをしているならと、他に特に入りたい部活も無かったため入部を決意しました。
そんな高校のバレー部で私に起きた出来事をこの後書きたいと思うのですが、かなり記事が長くなってきたので、また次回お伝えしたいと思います!
合わせて後編では、自身の体験をもとにBUDDYキッズレッスンで私が実際に運動教育を通していかに非認知能力の向上にアプローチしているかもお伝えしていきますのでお楽しみに!