子供は「3歳までに人生が決まる」??
昨今0~5歳児向けの幼児教育が世界的に大流行しており、ここ日本でも、それらしいデータを示して「3歳までに人生が決まる」とうたう塾を多く見かけることが多いですね。
しかし、実際のところ幼児教育が本当に子供のためになるのかどうかは、分かっていません。
そんな幼児教育に関して、どこまで科学的に解明されているのか調べてみました。
PISAショック
知育、STEM、音楽教室、外国語…など、幼児教育は世界的な流行となっています。
流行のきっかけとなったのが「PISAショック」。PISAとは2000年に初めて実施された15歳を対象とした経済協力開発機構(OECD)による国際学力テストです。
このテストでドイツの学力不振が明るみとなり、それが社会的に衝撃を与えた現象のことをPISAショックと呼びます。
OECDの年次のレポートでは必ず幼児教育にページを割くようになり、ユネスコでは2007年の報告書のテーマに幼児教育を取り上げています。このことからPISAは世界を幼児教育に向かわせたと言われています。
幼児教育の科学的根拠
この幼児教育の科学的な根拠となったのが、ヘックマンの研究です。
1972年に米国で実施されたアベセダリアン・プロジェクトという研究で、平均生後4.4カ月のアフリカ系米国人の貧しく家庭に問題を抱えた子供約100人を対象に、子供たちを2つのグループに分け、一方には教育活動をせず、一方のグループだけに最新の教育理論に基づいた継続的な教育的な介入を施しました。
このグループは5歳まで週に5日、保育施設で一緒に介入を受けました。健康管理や行政サービスは、教育を受けないグループも同じように受けました。
幼児期にこうした教育的介入をした人たちの追跡調査を続けて分かったことは、幼少期にきちんと教育的な介入を受けていれば、30代になったときのIQが平均してより高くなり、その後も高いままであり続けるということでした。
しかし、実は最近、アカデミアの世界では幼児教育に警鐘を鳴らす声が出ているようです。
ハーバード大学で人間発達学を研究する北村健二氏は「3〜4歳児は実行機能が急激に伸びるが、裏を返すと未発達」と話しています。
※実行機能:タスクを実行するのに必要な高次元の認知能力。人間特有で発達する前頭葉皮質の機能(集中持続、ノイズキャンセル、切り替え、ワーキングメモリ)
幼児教育に待ったをかける最新の研究?
前倒しで読み書き計算などの勉強を教えることが、短期的な効果はあっても、数年の長期スパンで見れば、むしろ負の影響が大きい恐れがあることを指摘する、衝撃的な論文が発表されたのです。
この論文は、学術的に信頼性の高い手法を採用した、信用度の高い研究とのこと。(Effects of a Statewide Pre-Kindergarten Program on Children’s Achievement and Behavior Through Sixth Grade:米テネシー州の幼稚園で、4歳児に学校の勉強の前倒しプログラムを実施し、その後の経過を長期で観察)
この論文では、このプログラムを受けた児童はその1~2年後は他園の子供より読み書きのスコアは高かったが、3~4年後には前倒し教育を受けなかった子供の方が学力が上がり、7年後にはプログラムを受けた子供たちの問題行動が増えるまでに至ったとあります。
他にも幼児教育で身に付けた学力の差が何年後かには消えてしまうことは、米国の様々な研究で明らかになっているそうです。
結局何が一番いいの?
それでは一体、小さい子供にどんな教育をすればいいのでしょうか?
実は、日本は幼児教育について実証研究のデータをあえてデータを取らず、あまりない状況です。
データがあると、その指標を伸ばそうとしたり、強制したり、データにだけ注目が集まってしまい、結果子供の成長を支えるのではなく、誘導することにつながるということなでしょうかね?
そもそも子供の発達は本当に複雑なので、「これさえ伸ばせばよい」「そのためにはこれさえやればよい」という大人のマインドセットは非常に危険なのかもしれません。
幼児期の教育で人生が決まる、能力が決まるとの考えは、子供にストレスを与え、多様な発達を制限してしまう可能性があります。
結局「子供自身がのびのび楽しく過ごすことが重要」という、よく聞くフレーズが真実なのでしょう。
結局これといった答えは見つかりませんでしたが、今回いろいろ調べてみて、更にこの教育の分野に関して興味が高まりました。私もお子様と接する指導現場に身を置く人間として、引き続き最新の情報を追っていきたいと思います!
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